気持ちのいいチョップの交換日記

気持ちのいいチョップの2人が交換日記をします。

とにかく長めの文章を書く 2024年4月25日 二子玉川と鳥

今日は天気がすこぶる良い。僕と友人夫婦はお出かけ日和ハンターの名を欲するがまま、昼下がりに二子玉川へ繰り出した。

 

今回のお出かけのジャンルは遠足。そう睨んだ僕は何か美味しいものを買って行こうとまずは近所のお店を見て回る。よく行く美味しいパン屋さんでお勤め品のパンが安くまとめて売られていたので、せっかくだから皆で食べようと思い買う。5つで1000円。お出かけの人数は3人。5つのうち3つはリュックに残りの2つは胃の中におさめた。

 

二子玉川駅には初めて降りる。車窓から見た二子玉川雄大な平凡さに何度も唸らされている。とにかく僕は川が好き。街の中に組み込まれた川。というよりも川があるからそこに人が集まり街が出来る。海よりも山よりも川が好き。

電車を降りて改札に向かう。改札の外の風景は想像していたよりもずっと文明が幅を利かせている。でっかい商業ビル。腐海にあるでかい植物みたいなおしゃれモニュメント照明。マンションだかビルだか判断のつかないガラス張りの建物。

とにかく人の往来も激しい。通りゆく人も全体的に若い。くたびれを感じさせないエネルギーに満ちている。人と建物の圧におされてぼーっと突っ立って友人夫婦を待つ。

 

5分ほどして、改札とは反対方向から友人夫婦が来た。少しおどけて。負けじと僕もおどけるが不発。友人夫婦は先に着いて、カップケーキとたい焼きを買ってくれていたみたい。嬉しい。足取り軽く、春の日差しというには強い日差しの中をお喋りしながら川に向かう。

 

少し川へ向かえばビルではなく住宅街と土手。土と草の匂いが心地よい。傾斜をのぼり、くだり、川沿いの道へ。ただっ広い、整備されたリバーサイド。土手の上には電線。決められたラインに草がモッサモッサ生い茂り、木がポツンポツンと植えられている。やや無機質にも思える風景の中、太陽の光と川の匂いがデンジャラスな自然をちらつかせ、お出かけ心をくすぐり続ける。

 

とにかく南へ。二子玉川公園へと向かう。後ろを振り返れば、遠く電車が音をたてて走っている。

 

二子玉川公園ではおじいがでっかいシャボン玉を作って飛ばし、人々を喜ばせている。一番大きいシャボン玉はフラフープくらいでかい。屋根の上まで行くこともなく壊れて消えていく。

 

階段をのぼり、土手の方にあがる。キレイに整備された広場。人々は犬を連れて歩き、併設されたスタバではパソコンを開いて作業する人も居ればお喋りする人もテラスの席で日向ぼっこをする人もいる。ウォーキングする人、小さな子供を連れて歩く人、学生、老人、子供。絵にかいたような、というか社会の教科書のイメージ図で見たことのある街の絵。成功したベッドタウン。真のニュータウン

 

我々もテラスに座り飲み物を飲みながら鯛焼きカップケーキを食べる。べらぼうに美味い。このタイミングでお勤めパンを出すのはちょっと違う気がして戦略的撤退。明日の朝の献立決定。

 

オレンジがかっていく風景の中、車いすを押しながら肩に大きな白い鳥を乗せた人が現れた。白い鳥は自分を繋いでいる鎖の様なものをしきりについばんでいる。

 

先ほどから犬を連れて歩く人の姿はたくさん見るが、どの犬もリードを噛みちぎろうとはしていない。たまに犬に向かって吠える犬がいるくらいで。

 

鳥を連れて歩く人に人だかりが出来ている。人だかりの中でしゃがんでいる人は一人もいない。犬の周りに出来る人だかりとは違う。そんじゃそこらの人だかりじゃない。鳥を触ろうとする人もいれば、ただじっと見ている人もいる。そこらへんは犬を囲む人達と同じだ。車椅子の人も肩に鳥を乗せている人も楽しそうにそれらの人達を見ている。

 

白い鳥はずっと鎖をついばんでいる。もし鎖を外せたとして、この鳥はまだ空を飛ぶことが出来るのだろうか。二子玉川に住むカラス達とうまくやっていけるのだろうか。

 

空の色、オレンジが濃くなっていく。だんだんと紫色に変わっていくであろう空。ビルの明かりで真っ暗にはなりきれないであろう空を飛んで行く白い鳥。

 

友人夫婦が焼肉にいこうと言ってくれている。僕の川にまつわる思い出がまた一つ増えた。