気持ちのいいチョップの交換日記

気持ちのいいチョップの2人が交換日記をします。

とにかく長めの文章を書く 20240424 亀かも

暑い寒いも苦手だが、雨や曇りといったお日様の見えない天気がもっと苦手なんだと最近気付いた。空気に掴まれているような動きづらさ。屋内にいても屋外にいても変わらない日差し。灰色の淀みの中にいるような地味な不快がずっとある。今年の3月、4月はそんな日が多く、モヤがかった春の訪れにブツクサ文句を言っている。とにかく桜が咲いて散ったから春が来たし春が終わるのだ。

 

最近夜更かしが自分の生活リズムの中で幅を利かせ、朝起きるのも9時、10時、11時と午前を捨てる日も増えてきた。ダラダラ準備してワタワタ家を出る事も増え、遅刻することも多い。特に電車がむずい。身体の覚醒に脳みそがついていかない。

全力走りで1本目の電車には間に合うもののそこからの乗り換えで脳みそにバトンタッチしてからがポカの始まり。

溝の口から行くのか、武蔵小杉から行くのか、東急大井町、東急田園都市、南部、横須賀、湘南新宿、相鉄直通、登戸からの小田急。きっとまだある。けどもう限界。便利と混乱は紙一重。どの電車からでも目的地にいける事が多いゆえに何かの歯車が狂えば最短ルートから遠回りルートになってしまう。

10年以上京都を自由気ままにカブで移動していた身からすると慄くばかり。距離や交通量ではなく乗り換え。電車を出てホームの人混みをかき分けていかに早くエスカレータにたどりつくか。もしくは階段を見つけ人混みを縫ってのぼるか。SASUKEのように攻略できるものではない。フィールドアスレチックの難易度でなく同時に攻略しようとするプレイヤーの数の多さ、それぞれのモチベーション、諸々の条件が全く違うので単独で強引にクリアしようとすると失格になってしまう。それじゃあ元も子もない。

 

今日も朝をぼんやりと過ごし、慌てて外出をする。雨。傘を取りに部屋へ戻ると確実に贈れる。いずれやむだろうと決め、駅まで走る。しかし、1本目の乗りたかった電車に乗り遅れシャツは雨でインナーは汗で濡れた身体だけがホームにある。あぁ。5分ほど待って次の電車に乗る。なんと乗り換えがこの2か月で一番スムーズにいき、本来乗りたかった電車で神保町まで向かえることになった。いぇい。九段下あたりで脳みそが覚醒してきた。もしかしたら今日は神保町に行かなくて良い日だったかもしれない。急ぎ友人に連絡をして確認をする。電車は神保町に着く。友人からの返信は無い。せっかく約束の時間に間に合うように行動できているのだしいつもの場所に向かうことにする。改札を抜けて階段をのぼり外に出るとしっかり雨。傘をささねばズブ濡れる雨。

ウチに帰ればビニール傘は3本もある。これ以上増やすのならばとコンビニで1600円する丈夫な黒い傘を買ったところで友人から返信がきた。やはり僕は今日、神保町に来る必要がなかった。

雨の神保町を歩くのも悪くはないかと思うも、お腹が急に痛くなる。トイレを貸してくれそうなお店が見つからず急いで駅へ向かう。改札内のトイレに駆け込む。無事に用を足すも、ここから再度神保町へ繰り出す気力は沸かず溝の口まで引き返す。駅近のネットカフェで時間を潰して再度、東京方面の電車に乗ろうと店を出た。まだ雨は降っている。傘を差して駅へと向かう。街をゆく人の傘はカラフルで、今日の雨予報をしっかり見て外出できる人ばかりの様に思えた。足取りが少し重くなる。人混みをさけて狭い路地を行き、歩道橋をのぼろうと見上げた視線の先に亀がいた。

 

雨に濡れてじっとりとした黒色、折り畳み傘特有のハッキリと浮き上がった骨、小ぶりゆえにグッと身体に引き寄せる差し方。階段をのぼるゆっくりとした足取り。

 

非日常に接続してしまったかもしれない高揚感に足を止める。じっとは見ない。きっと小柄な人が黒い折りたたみ傘を差して歩道橋をのぼっているだけだろうから。日常の1コマを漫画みたいに楽しみたい。ジャンルに強い希望は無いけれど、サンデーとかスピリッツに掲載されている感じのが良い。そんな事を思いながらデカい黒い傘を差して急ぎ足で亀を追い抜かしていく。振り返らずに足元だけ滑らぬように気を付けながらただ駆けていく。